「SNSで話題のポップマート、結局どこの国の会社なの?」そんな疑問を持ちながら、なんとなく気になったまま放置していないだろうか。ラブブのバッグチャームやブラインドボックスがTikTokやInstagramを賑わせているのに、どこの国のブランドかを知らないという方は実は多い。ポップマートは中国・北京に本社を置く会社だが、「中国ブランドって品質は大丈夫?」と感じる方も少なくないだろう。この記事では、ポップマートがどこの国の会社なのかを基本から解説しつつ、創業の背景・ラブブ生みの親の話・ブラインドボックスの仕組み・日本での買い方まで丸ごとまとめた。読み終えるころには、友人に「ポップマートって実はこんなブランドなんだよ」と自信を持って話せるようになる。
ポップマートはどこの国の会社?まず基本から整理しよう

「SNSで何度も見かけるけど、ポップマートって結局どこの国のブランドなの?」と思いながら調べずにいた方は多いはずだ。答えをひとことでいえば、ポップマートは中国・北京に本社を置く企業だ。2010年に設立され、2020年に香港証券取引所へ上場を果たしたグローバルブランドで、今や世界90カ国以上に商品を届けている。
正式社名と設立年を確認——実は北京生まれの企業
ポップマートの正式社名は「泡泡玛特国际集团有限公司(POP MART International Group Limited)」。中国語の「泡泡」は「バブル・泡」を意味し、夢や楽しさの象徴として命名された。英語名のPOP MARTは「ポップカルチャーのマーケット」というコンセプトから来ており、日本ではカタカナで「ポップマート」と表記されることが多いが、公式ブランド名は「POP MART」が正式だ。
設立されたのは2010年11月。場所は中国の首都・北京にある商業施設の一角だった。当初は文房具・雑貨・輸入デザインプロダクトを扱うセレクトショップとして出発し、「おしゃれな輸入雑貨店」に近いイメージだったという。それが今日の世界的ブランドに成長するとは、設立当初は想像もできなかっただろう。
設立から10年後の2020年12月、ポップマートは香港証券取引所(HKEX)にIPO(新規株式公開)を実施した。上場初日の株価はすでに公募価格の2倍近くまで跳ね上がり、市場が高い成長期待を持っていることを示した。このスピード感あふれる成長曲線が、ポップマートを中国ビジネス界の成功事例として世界から注目させることになった。
香港証券取引所に上場している企業規模
「中国のフィギュアブランドって、ちゃんとした会社なのかな」と思う方は多いかもしれないが、ポップマートは香港証券取引所(HKEX)に上場する公開企業だ。上場企業は投資家や証券取引委員会の監視下に置かれ、財務諸表を定期的に公開する義務がある。いい加減な経営や品質管理は、市場からの評価低下として即座に株価に響く。その意味で、上場という事実は一定レベルの企業統治(ガバナンス)の証明といえる。
2024年時点の年間売上高は100億人民元(日本円に換算すると概ね2,000億円規模)を超える水準に達しており、これは日本の中堅メーカーが複数束になってようやく競えるほどの規模だ。コレクターフィギュアやデザイントイのカテゴリでは、世界最大規模の企業グループのひとつに数えられる。
店舗数の観点からも規模の大きさがわかる。2024年時点で中国国内の直営店が400店舗以上、海外も含めると700店舗以上に及ぶとされており、世界の主要都市に次々と旗艦店を構えている。チェーン店展開の速さという点では、ファストフードチェーンに匹敵するスピード感だ。
「中国の会社だから品質が心配」という疑問に答える
「中国製品はちょっと……」というイメージを持つ方は今も少なくない。確かに一昔前には、中国製の安価な製品がトラブルを引き起こす事例があった。しかしポップマートは、そうした粗悪品のイメージとは明確に異なるポジションにある。
ニューヨーク・ロンドン・パリ・東京など、世界のファッション・カルチャーの最前線に直営店を構え、高感度な消費者をターゲットにしたブランド戦略をとっている。1個数千円〜数万円するフィギュアを洗練されたショップ空間で展示・販売するスタイルは、LVMHやKERINGのようなラグジュアリーブランドの手法に近い。
CNNやBBCなどの国際メディアにも「中国発のクリエイティブ・エコノミーの象徴」として繰り返し取り上げられており、ビジネス界でも真剣な研究対象になっている。「中国のブランドだから怪しい」という先入観は、ポップマートに関しては一度脇に置いて考えたほうがいいだろう。
ポップマートはなぜ生まれた?創業者とブランドの原点

ポップマートを深く理解するには、創業者の思いと、ブランドが現在の形に「進化した」きっかけを知っておくと面白い。最初から洗練されたフィギュアブランドだったわけではなく、試行錯誤の末にたどり着いた現在の姿がある。
創業者ワン・ニンとデザインカルチャーへの情熱
ポップマートを立ち上げたのは、王寧(ワン・ニン)という人物だ。1987年生まれで、中国人民大学を卒業後、2010年に23歳という若さでポップマートを設立した。設立の動機は「中国国内に、自分が欲しいと思えるデザインプロダクトを売る場所がない」という問題意識だったという。
ワン・ニンはデザインプロダクトやポップカルチャーへの強い関心を持ち、欧米や日本の「アートトイ」文化に影響を受けていた。アートトイとは、アーティストがデザインした少量生産のフィギュアで、コレクターズアイテムとして高値がつくことも珍しくない。「こうした文化を中国にも、そしてより手の届く価格で広めたい」という思いが、ポップマートの出発点だった。
若き創業者が掲げたビジョンは「トレンドカルチャーを民主化する」こと。高価なアートトイを一部のマニアだけのものにするのではなく、誰でも手にできる仕組みを作ることが目標だった。そこで生まれたのが、1個数百〜数千円のブラインドボックスという販売形式だった。この価格帯の設定が、後の急速な大衆化を可能にした。
2010年設立から2020年上場へ——10年間の転換点
2010年に北京の商業施設に最初の店舗を構えたポップマートだったが、当初の数年間は試行錯誤が続いた。文房具・雑貨・輸入コスメなど、様々な商品を扱いながら方向性を模索していたが、これといった特徴のない「普通のセレクトショップ」の域を出られずにいた。
転機が訪れたのは2015〜2016年頃のことだ。あるセレクトショップで見かけた「SONNY ANGEL(ソニーエンジェル)」という日本製フィギュアとの出会いが、ワン・ニンの目を開かせた。かわいい天使のキャラクターが入ったブラインドボックスは、「開けるまで中身がわからない」という仕掛けで人々を熱中させていた。そのソニーエンジェルが置かれていた棚の売れ行きが、周囲の商品と比べて圧倒的によかったことに気づいた。
「中身がわからないから欲しくなる」というメカニズムに大きな可能性を見出したワン・ニンは、自社でオリジナルキャラクターのブラインドボックスを作ることを決断する。そこで出会ったのが、香港出身のアーティスト・ケニー・ウォンが創作したキャラクター「MOLLY(モリー)」だった。2017年にモリーシリーズのブラインドボックスを発売したところ、爆発的な人気を呼び、ポップマートの方向性が確立した。
その後は中国全土への急速な店舗展開を経て、2020年12月に香港証券取引所への上場を達成。設立からわずか10年での上場は、中国スタートアップ史でも稀有な事例として語り継がれている。
最初はただの雑貨店だった——ピボット(方向転換)の決断
ポップマートの成功の秘訣のひとつは、「上手くいっていないと気づいたら迷わず方向を変える」という経営姿勢だ。最初のセレクトショップが鳴かず飛ばずだった時期にも、安易に規模を縮小して守りに入るのではなく、「何が本当に求められているのか」を徹底的に探り続けた。
ブラインドボックスへのピボットは、その問い続けた結果として生まれた決断だ。「売れる商品のそばに答えがある」という地道な観察が、ポップマートの転換点を生んだ。この経緯は、スタートアップが成功するために必要な「顧客インサイトの発見」の好例として、ビジネス書にも取り上げられている。
今でこそ世界的ブランドとして確立されているポップマートだが、その土台には「失敗を恐れない、でも観察は怠らない」という創業者の姿勢がある。ブランドの背景を知ることで、フィギュアに込められた「文化を届けたい」という意志が見えてくる。
中国ブランドで本当に大丈夫?品質と信頼性の実態

「かわいいとは思うけど、中国のブランドって品質はどうなの?」は、多くの方が持つ正直な疑問だ。この疑問に正面から向き合っておこう。
上場企業としての品質管理体制
だからこそ、ポップマートは製造過程での品質管理を徹底している。一般的なカプセルトイと異なり、ポップマートの商品はアーティストが原型を監修し、設計通りの仕上がりになっているかを複数工程でチェックする体制をとっている。塗装の精度・素材の質感・造形の細部にまでこだわるプレミアム品質は、コレクターたちからも高く評価されている。
また、上場企業として株主・投資家の目が常に注がれているため、品質問題を軽視することはブランド価値の毀損に直結する。短期的なコスト削減のために品質を落とすインセンティブが働きにくい構造になっており、これがポップマートの「コレクター評価の高さ」につながっている。
世界90カ国以上に展開する信頼の証明
品質への信頼を示す最も確かな証拠のひとつは、世界展開の規模だ。ポップマートは2024年時点で世界90カ国以上に商品を届けており、主要都市には直営旗艦店を構えている。ニューヨークのタイムズスクエア近く、ロンドンのコベントガーデン、パリのマレ地区、東京の表参道など、世界のトレンド発信地に次々と出店している。
これほどの都市部への出店が実現できているのは、地元の目の肥えた消費者の審美眼に耐えられる品質があってこそだ。特に欧米の消費者は製品の品質や企業倫理に対する基準が厳しく、「安かろう悪かろう」では口コミで即座に淘汰される。それでも世界中でファンを増やし続けているという事実が、品質の証明になっている。
各国の安全基準・消費者保護法をクリアした商品のみが販売されていることも、安心感の裏付けだ。子ども向けではなく成人コレクターをメインターゲットにした商品設計は、より高い品質水準での製造を可能にしている。
偽物・コピー品に注意——正規品を見分けるポイント
最も確実なのは、公式チャンネルからの購入だ。ポップマートの公式オンラインショップ、または公認の直営店・正規取扱店での購入が最善策になる。フリマアプリや非公式の通販サイトでの購入は、偽物や転売品を掴まされるリスクが高い。
正規品と偽物を見分けるポイントとしては、フィギュア底面の刻印・製造番号・QRコードの有無がある。正規品には必ずこれらが施されており、公式アプリで真贋確認できる仕組みになっている。また、パッケージの印刷品質も参考になる。正規品は色の発色・文字のシャープさが明確で、偽物は印刷のにじみや文字のブレが見られることが多い。少しでも「なんか違う」と感じたら、公式ルートでの再確認をおすすめする。
ラブブはどこから来た?人気キャラクターの生みの親

「ポップマート=ラブブ」というイメージを持つ方も多いが、実はラブブはポップマートが独自に生み出したキャラクターではない。その誕生の背景を知ると、ポップマートというブランドの本質的な面白さがよく見えてくる。
LABUBUはタイ系香港人アーティストが生み出したキャラクター
ラブブ(LABUBU)を生み出したのは、タイ系香港人アーティストのカシン・ラング(Kasing Lung)だ。絵本作家・イラストレーターとしても活動する彼が、独自の世界観から描いた「The Monsters」シリーズのひとつがラブブだ。とがった耳と八本の牙を持つ独特のシルエットは、北欧神話に登場するトロルなど妖精・怪物の伝承からインスピレーションを得たという。
ポップマートはラブブの版権(IP)を保有するカシン・ラングとライセンス契約を結び、フィギュア化・販売を担当している。つまり、ラブブ自体はポップマートが「発明した」キャラクターではなく、ポップマートが「発掘して世界に届けた」キャラクターだ。この区別は、ポップマートというブランドの本質的な役割を理解するうえで重要だ。
カシン・ラング自身はもともとアートブック・絵本の世界では知られた存在だったが、ポップマートとの協業によって世界規模のファンを獲得した。「好きなアートを持ち続けながら、世界市場に届けてもらえる」という体験が、他のアーティストたちがポップマートに魅力を感じる理由のひとつになっている。
ポップマートは「IPを発掘する」プラットフォーム
アーティストにとっては、自分でビジネスを立ち上げなくてもポップマートとの契約によって世界市場に参入できるというメリットがある。制作・品質管理・物流・店舗運営・マーケティングは全てポップマートが担い、アーティストはデザイン・世界観の構築に集中できる。クリエイターとプラットフォームの共存関係は、Spotifyや任天堂のビジネスモデルと似た側面がある。
ポップマートにとっては、多様なIPを保有することで特定キャラクターへの依存リスクを分散できるメリットがある。現在取り扱うIPは数十種類に及び、それぞれが熱狂的なファンコミュニティを持っている。希少な「シークレット」アイテムのトレード市場まで自然発生的に生まれており、ひとつの経済圏(エコシステム)が形成されつつある。
人気キャラクターはラブブだけじゃない——MOLLYとSKULLPANDAも紹介
ポップマートにはラブブ以外にも多くの人気シリーズがある。なかでも知名度が高いのがMOLLY(モリー)とSKULLPANDA(スカルパンダ)だ。
MOLLYは、香港出身のアーティスト・ケニー・ウォン(Kenny Wong)が生み出したキャラクター。まん丸な目とぷっくりした口元が特徴で、多様なテーマ・衣装のシリーズ展開がある。ポップマートの代名詞的存在で、2017年のブラインドボックスとして初登場して以来、数年にわたって根強い人気を誇る。「ポップマートといえばモリー」という認識を持つ人も多く、ラブブが流行する以前からのファンにとっては特に思い入れの深いキャラクターだ。
SKULLPANDAは、スカルをモチーフにしたダークでクールなデザインが特徴のシリーズ。ストリートファッション好きやモードなサブカルチャー好きに特に人気が高く、ラブブの「かわいい系」とは全く異なる「かっこいい系」の世界観を持つ。好みに合わせてシリーズを選べる幅広さが、ポップマートの強みのひとつだ。他にもCRYBABY、DIMOO、BUNNYなど個性豊かなシリーズが並んでおり、コレクターのタイプによって入口が異なるのが面白い。
ブラインドボックスって何?ポップマートのビジネスモデルを知る

「ブラインドボックス」という言葉を初めて聞いた方も多いはずだ。ポップマートを理解するうえで欠かせないこのビジネスモデルの仕組みを、日本でなじみのあるガチャとの違いも含めて解説しよう。
中身がわからないから欲しくなる——ガチャとの違い
ブラインドボックスとは、箱を開けるまで中身のデザインが確認できない商品の販売形式だ。日本でいえばカプセルトイ(ガチャ)に近い感覚だが、いくつかの点で大きく異なる。
最も大きな違いは品質水準だ。コンビニやゲームセンターのガチャは数百円の消耗品として設計されることが多いが、ポップマートのブラインドボックスはアーティストが監修した高品質なフィギュアが入っている。素材の質感・塗装の精度・造形の細かさなど、コレクターが満足できるプレミアム品質を維持している。開けて「損した」と感じさせない品質設計が、リピート購買につながっている。
もう一つの違いは「ラインナップの透明性」だ。ポップマートのシリーズは、含まれるデザイン(通常品)と、ごく少数しかない「シークレット」デザインが公表されている。どれが入るかは開けるまでわからないが、「このシリーズには全部で12種類+シークレット1種類がある」という情報は事前に公開されている。コンプリートを目指す計画が立てやすく、コレクター心理を刺激する工夫がされている。
どれくらい費用がかかる?価格帯と楽しみ方
ポップマートのブラインドボックス1個あたりの価格は、シリーズによって異なるが、日本では概ね1,000〜2,000円台が標準的な価格帯だ。シークレットアイテムの出現確率はシリーズにより異なるが、1/72〜1/144程度とされているものが多く、コンプリートには相応の投資が必要になる。
「1個試してみる」という感覚なら1,000〜2,000円の出費で体験できるため、間口が広い。一方、本格的にコレクションを深めようとすると、1シリーズのコンプリートに数万〜十数万円かかるケースもある。それを踏まえてポップマートにはいくつかの賢い楽しみ方がある。
一つは「ボックス単位での購入」で、1シリーズ分がまとめて入ったボックスを購入することで、通常品のすべてが揃う確率が高くなるよう設計されている。もう一つは「コレクター間のトレード文化」で、欲しくない種類を持っている人と交換することで、お目当てのキャラクターを効率よく手に入れる方法だ。公式アプリやSNSのコミュニティでは、こうしたトレードの呼びかけが日常的に行われている。
コレクター心理を捉えた「また欲しくなる」デザインの工夫
ポップマートがここまで熱狂的なファンを生み出している理由のひとつは、「もう一個開けたい」という衝動を巧みに引き出すデザインの設計にある。
まず、テーマ設定の多彩さだ。「宇宙」「海」「ハロウィン」など季節・コンセプトごとに設計されるシーズナルシリーズに加え、有名アーティスト・ブランド・映画・アニメとのコラボシリーズも絶えず登場する。限定品という性質が購買優先度を高め、リリースのたびにコレクターの財布のひもが緩む仕掛けになっている。
次に、シークレットアイテムの存在だ。通常ラインナップとは異なる特別仕上げのシークレットは「当たり」として機能し、コレクター間で希少価値が生まれている。「次こそシークレットかも」という期待感が、連続購入の動機になる。
さらに、公式アプリ・SNSでのコミュニティ形成も精巧だ。開封動画を投稿したり、コレクション自慢をしたりする文化がSNSで自然に醸成され、新規ユーザーへの口コミが連鎖する仕組みができている。「TikTokで見て気になった」「友人の投稿を見て欲しくなった」というパターンで入口に入るユーザーが多いのも、この文化の賜物だ。
世界を席巻したポップマートの海外展開ルート

中国国内での成功を土台に、ポップマートは世界市場への扉を次々と開いていった。その展開ルートには、グローバルブランドとしての計算された戦略がある。
中国からアジアへ——東南アジアで火がついた理由
ポップマートの海外展開は、まず文化的・地理的に近い東南アジアから始まった。シンガポール・タイ・マレーシア・インドネシアなどでは、日本や韓国のポップカルチャーへの親和性が高く、「かわいいコレクターアイテム」という概念がすでに受け入れられていた。
特にタイでの人気は突出しており、2023〜2024年にかけてラブブ旋風が起きた際、タイのセレブリティや一般ユーザーが競って購入する様子がSNSを賑わせた。著名なインフルエンサーたちがラブブのチャームをバッグに付けた写真を投稿したことで、若年層の間で「持っている=おしゃれ」という認識が広まり、爆発的な人気につながった。
東南アジアでの成功が証明したのは、「アジア全域で通じるポップカルチャーの共通言語が存在する」という事実だ。ポップマートはその共通言語の担い手として機能し、各国のZ世代・ミレニアル世代の消費者を次々と取り込んでいった。アジアで熱狂が先行したことが、後の欧米展開の信頼性を高める役割も果たしている。
欧米への進出——NYやロンドンにも旗艦店
アジアでの成功を確認したポップマートは、欧米市場への本格進出に乗り出した。ニューヨーク・ロンドン・パリ・オーストラリアのメルボルンなど、世界の主要消費都市に旗艦店を展開している。
欧米での展開で特筆すべきは、「アジアのブランド」という枠を超えて受け入れられている点だ。アジア発のポップカルチャーが欧米の主流消費市場に食い込むのは難しいとされてきたが、ポップマートはその壁を越えつつある。欧米のコレクターコミュニティでも、ラブブやモリーへの関心は高く、オープン初日に長蛇の列ができることも珍しくない。
成功の背景には、「国籍・文化的文脈を問わず刺さるデザイン」があると分析されている。ラブブのような独特のキャラクターは、特定のアニメや文化を知らなくても「かわいい」「個性的」と直感的に感じられる普遍的な魅力を持っている。これはポップマートがIP選定時に意識的に追求している要素であり、グローバル展開の核心部分だ。
日本での展開——どんな店舗がある?
日本でのポップマート展開は、2020年代に入ってから本格化した。東京・大阪を中心に複数の直営店が開設されており、訪日外国人にも人気のスポットになっている。
東京での主な直営店は、表参道・渋谷・池袋などのファッション・カルチャー集積エリアが中心だ。大阪では心斎橋エリアに店舗があり、関西のトレンドに敏感な若者たちを引きつけている。一部の百貨店・ショッピングモール内にも展開されており、訪れやすいアクセス環境が整っている。
日本の直営店では、限定カラーや日本向けの特別シリーズが販売されることもある。店内はシンプルかつスタイリッシュなデザインで、フィギュアだけでなくグッズ・アパレルも並んでいる。商品を購入したその場で開封できるスペースが設けられている店舗もあり、「その場で開けるドキドキ」を体験できる仕掛けになっている。
日本ではどこで買える?ポップマートの購入方法まとめ

「実店舗が遠い」「なかなか行く時間がない」という方も、オンラインで手軽に購入できる方法がある。購入チャンネルを整理しておこう。
国内の実店舗——直営店と正規取扱店の違い
ポップマートの日本国内の購入先は、大きく「直営店」と「正規取扱店」に分かれる。直営店はポップマートが直接運営する店舗で、最新シリーズ・限定品・新商品が最も早くそろう。来店前に公式サイトやSNSで在庫状況を確認しておくとスムーズだ。
正規取扱店は、ポップマートの認定を受けた小売店舗で、一部のアニメ・ホビー専門店や百貨店がこれに当たる。正規取扱店での購入なら品質・正規品の保証が得られる。ただし直営店よりラインナップが少ない場合もあり、目当てのシリーズがあるかどうか事前に確認しておくといい。
どちらの店舗でも、購入したブラインドボックスをその場で開封して楽しめるスペースが用意されているケースがある。開けた瞬間にどのキャラクターが出たかをリアルタイムで確認し、感情を共有するのがポップマート体験の醍醐味のひとつだ。
公式オンラインショップと正規通販での購入
実店舗に行けない方は、公式オンラインショップの活用がおすすめだ。ポップマートの公式サイト(POPMART.COM)では日本向けのサービスが整備されており、国内配送に対応している。公式ルートでの購入なら、偽物のリスクゼロで、在庫状況も常に更新されているため売り切れ品の情報もリアルタイムで把握できる。
公式アプリも積極的に活用したい。アプリからの購入・会員特典・ポイント制度に加え、新商品の先行情報やリリース通知が届く機能がある。人気シリーズは発売直後に完売することが多いため、通知設定をしておくと購入機会を逃しにくい。
大手ECサイト(楽天・Amazon等)でも取り扱いがあるが、ポップマートの公式ストアかどうかを必ず確認してほしい。非公式の転売業者が高額で出品しているケースも多く、なかには偽物が混入しているリスクもある。「公式」「正規品」の表記だけを信頼基準にせず、ストアページの販売者情報まで確認することが大切だ。
転売品・偽物に引っかからないための注意点
人気商品には必ず転売品や偽物が混じる。ラブブシリーズは特に転売価格が定価の2〜5倍になることもあり、精巧な偽物も流通している。正規品を定価で入手するために押さえておくべきポイントをまとめておこう。
まず、購入先を公式チャンネルに絞ることが最善策だ。直営店・公式オンラインショップ以外での購入はリスクが伴う。フリマアプリや個人売買では、転売品を正規価格より高く買わされるだけでなく、状態不良品や偽物を掴まされる事例もある。
正規品と偽物を見分けるポイントとして、フィギュア底面の刻印・QRコード・製造番号の確認が有効だ。正規品にはこれらが必ず施されており、公式アプリで真贋確認ができる仕組みが導入されている。パッケージの印刷品質も判断材料で、色の鮮明さや文字のシャープさが一目瞭然で異なる。少しでも「なんか違う」という違和感があれば、公式での確認を優先してほしい。
ポップマートはなぜこんなに流行っているの?熱狂の理由を3つで解説

世界中でポップマートが熱狂的な支持を集めている理由は何だろう。単なる「かわいいガチャ」を超えた人気の背景を分析してみよう。
SNSで止まらない「開封動画」の連鎖
ポップマートの世界的流行を支える最大の要因のひとつが、SNSでの開封動画(アンボクシング)文化だ。TikTokやInstagramで「LABUBU unboxing」「ポップマート 開封」と検索すると、何千もの動画が見つかる。箱を開ける瞬間のドキドキ、当たり・外れへの一喜一憂をリアルタイムで共有する動画は、見ている側にも同じ感情を疑似体験させる力がある。
心理学的には「バイカリアス・リウォード(代理報酬)」と呼ばれる現象で、他者の成功体験を見ることで自分も似た報酬感を得たように感じる。「自分も試してみたい」という購買意欲が自然に生まれる仕組みだ。
また、開封動画は「当たりが出た!」という興奮をそのままコンテンツとして完結させられるため、動画制作に特別なスキルが不要で誰でも投稿しやすい。UGC(ユーザー生成コンテンツ)が次々と生まれる環境が、ポップマートの認知をほぼ広告費ゼロで拡大させてきた最大の要因だ。これは現代のSNSマーケティングの成功モデルとして、マーケター・ブランド担当者からも注目されている。
アーティストとのコラボが「限定品」を生み続ける
ポップマートのもう一つの人気要因は、エンドレスに生まれる「コラボ×限定品」の仕掛けだ。世界各地のアーティスト・ファッションブランド・映画・アニメとのコラボによって常に新しいシリーズが登場し、「今しか買えない」という希少性が購買意欲を高め続けている。
コラボ限定品が機能するのは、スカーシティ(希少性)の原理が働くからだ。「このデザインは今だけ」「店頭限定数量」という条件がつくことで、通常品より優先度が上がる。コレクターたちは新シリーズのリリース情報を追い続け、入手競争に参加する文化が生まれている。
日本向けには、日本のポップカルチャー(アニメ・マンガ・ゲーム)との親和性を考慮したコラボが展開されることもある。世界標準シリーズに加えて「日本だけの限定品」があることで、日本のコレクターにとって特別な購入動機が生まれる。この「地域ごとの限定性」が、世界各地での熱狂を維持させる巧みな戦略になっている。
世界で加速する「大人のコレクター文化」の波
ポップマートの成功は、より大きなトレンド——「大人のコレクター文化の復権」——の波に乗っている。かつてフィギュアやコレクターアイテムは「一部のマニア向け」という印象があったが、Z世代・ミレニアル世代を中心に「好きなものを集める」ことへの心理的ハードルが大幅に下がってきた。
特にコロナ禍以降、「モノを持たない」ミニマリズムからの反動として、「好きなものだけを大切に飾る・集める」というライフスタイルへの関心が高まった。ポップマートのフィギュアは、サイズ・デザイン・価格帯が「大人のコレクションとして部屋に飾りたい」という需要に絶妙にフィットした。
さらに、グローバル化によって世界のコレクターコミュニティが同一のSNS上でつながるようになり、コレクション文化の伝播速度が劇的に速くなった。ソウルやバンコクのコレクターが持っているアイテムが即座に東京や大阪のコレクターに知れ渡り、「自分も欲しい」という感情が連鎖する。ポップマートは、この新しいグローバル・コレクター文化の象徴的な存在として、その波の中心にいる。
よくある質問

- ポップマートはどこの国の会社ですか?
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ポップマートは中国・北京に本社を置く企業です。2010年に創業者の王寧(ワン・ニン)が設立し、2020年に香港証券取引所への上場を果たしたグローバルブランドです。正式社名は「POP MART International Group Limited」で、現在は世界90カ国以上に商品を展開しています。
- ラブブ(LABUBU)はポップマートが作ったキャラクターですか?
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ラブブはポップマートが独自に生み出したキャラクターではなく、タイ系香港人アーティストのカシン・ラング(Kasing Lung)が創作した「The Monsters」シリーズのひとつです。ポップマートはカシン・ラングとライセンス契約を結び、フィギュア化・販売を担当しています。ポップマートは世界中のアーティストのIPを発掘して商品化するプラットフォームとして機能しており、ラブブはその代表的な成功事例です。
- 中国ブランドのポップマートは品質が心配ですが、大丈夫ですか?
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ポップマートは香港証券取引所に上場する公開企業で、投資家・市場からの監視のもと品質管理を徹底しています。ニューヨーク・ロンドン・パリなど世界の主要都市に直営旗艦店を展開し、各国の安全基準もクリアした商品のみを販売しています。安心して購入するためには、公式オンラインショップや認定直営店での購入をおすすめします。フリマアプリや非公式ルートでは偽物・転売品が混じるリスクがあるため注意が必要です。
まとめ
ポップマートは、中国・北京発の上場グローバルブランドだ。ラブブをはじめとした独自キャラクターたちは、世界中のアーティストとの協業から生まれており、ポップマートはそのIPを世界に届けるプラットフォームとして機能している。ブラインドボックスの仕組みを知ると、あの熱狂がなぜ止まらないのかが腑に落ちるはずだ。はじめての一個を試すなら、まずは公式オンラインショップか直営店で好きなシリーズを探してみよう。箱を開ける瞬間のドキドキは、写真や動画では伝えきれない体験がある。あなたのお気に入りのキャラクターに出会えたとき、きっとコレクターの扉が開く。

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